Written by Decipher
日本は原油・天然ガスといったエネルギーのほとんどを輸入に依存しているため、備蓄があるとは言え世界情勢によっては枯渇してパニックになるリスクは存在する。経済産業省は自主開発率の向上を目指してはいるが、自給率を少し上げる程度の効果ではスケールが小さい。いっそのこと、エネルギーを輸出するほどのエネルギー大国になることを目指してはどうか。その可能性があるのが水素だ。
水素を日本のエネルギー構造のメインにするにはまだ技術的、コスト、インフラや法整備の課題などが山積しているが、日本の総合技術力をもってすれば超えられない壁は無いところまできている。最大の問題はどのように普及させていくかの戦略と、莫大な投資だ。エネルギーは国家運営において食糧と並ぶ最も重要な要素のひとつである。どんなに莫大な投資であろうともエネルギーが自給でき、更には輸出産業にもなり得る可能性があるのなら全力で取り組むべきである。スケール的には例えば今後10年間で日本の一般会計予算に匹敵する100兆円規模の投資をしてでも水素の生産工場とインフラを整えて国内の普及を進め、その後の10年でエネルギーを輸出して100兆円の利益を稼ぎ出すような事業を目指してはどうか。このような戦略を打ち出す国会議員や閣僚はいないものだろうか。
ここで述べたいのは水素を輸入するのではなく、日本国内で生産することが最も重要だ。グリーン水素を日本で大量に生産する事に全力を注ぐことが必要とされる。再生エネルギーで水素を生産することが主流であり、当面はこの方式でスケールを大きくする必要がある。太陽光発電や風力発電の余剰電力で水素を生産することが一般的だが、それに加え日本には3つのアドバンテージがある。一つ目は四方を海に囲まれているため豊富な潮流発電が期待できる。潮流発電は一年を通してほぼ安定し、発電量が予測ができる優れものだ。二つ目は地熱発電だ。まさに24時間コンスタントに稼働ができる。そして最後は水力発電だ。これは従来のようなダムを造る大規模なものではなく、超小型の発電機を河川に大量に整備するといったものだ。人口が密集した都市部では難しいが、地方においては水素を地域で生産して地域で消費する『地産地消』を進めれば必要なエネルギーを賄える可能性があるのではないだろうか。
いずれにせよこのゲームチェンジを実現させるためには、水素の普及のためであれば人々の生活様式さえも変える覚悟が必要だ。必要であれば多少の不便を受け入れてでも水素エネルギー社会を確立するべきだ。もちろん、暮らしの安全や健康を犠牲にすることはあってはならない。日本が石油・ガスのエネルギー大国になる可能性は海洋開発などではるか遠い未来にはあるかもしれないが、水素エネルギーであればたった数十年で実現が可能であることを認識して戦略を図るべきだ。